【川﨑先生コラム】スポーツ外傷で多い、膝の靭帯損傷
2024/08/09
こんにちは!!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
川﨑先生コラムの第56弾をお届けいたします!
スポーツ外傷で多い、膝の靭帯損傷
皆様、暑い日が続いていますが恙なくお過ごしでしょうか。
先日、膝の内側側副靭帯断裂をしてしまった私・・・・(´;ω;`)ウッ…
怪我をした日は、朝から気温が38℃の猛暑日、疲労が蓄積してコンディショニング不調の悲劇でした。
幸い、夜間部の3年生が膝のXサポートテーピングとIcingまでバッチリ対応してくれて無事に歩いて帰宅できました。感謝!(*^-^*)感謝!!
柔道整復師としての技術や対応力はベテラン先生に負けないくらいの技量があり、とても素晴らしかったです。
卒業後は、もっと魅力を発揮して活躍してほしいと願っています。
膝の靭帯損傷とは
膝の靱帯損傷は、下肢のスポーツ外傷の中でも多く発生しているケガです。
特にジャンプやブレーキをかける、急な方向転換、接触などで損傷を起こすことが多く、発生頻度が高い靭帯は内側側副靭帯と前十字靭帯です。
靭帯はヒモ状の結合組織の束で、①関節包の強化、②骨と骨の連結を補強、③運動や可動域に制限を加えるなど関節の支持機構としての役割をしています。
膝の靭帯には、関節包外靭帯である「内側側副靭帯・外側側副靭帯」と関節包内靭帯である「前十字靭帯・後十字靭帯」の4種類で構成されています。
関節包外の「内・外側副靭帯」は、血行が良く修復組織が速やかに形成されますが、関節包内の「前・後十字靭帯」は、関節周囲組織との連続性が疎であるため完全に断裂すると断裂端の連続性が失われ、修復組織も不十分でかつ血行不良により靭帯線維の再生を促すことができないため靭帯が癒合されない特徴があります。
前十字靭帯断裂の選手が手術をする話はよく聞きますよね。
理由は血行が悪く自然治癒しないからなんです。
膝の十字靭帯を断裂すると自分の組織(腱)を用いて再建する(自家腱移植)手術を行う必要があります。
関節鏡視下膝十字靱帯再建術という内視鏡手術によって、入院は約1週間程度で術後のリハビリ期間は6~9ヶ月で、ほとんどのアスリートは、術後はケガをする前と同様にスポーツ復帰し活躍しています。
アスリートにとって、膝の靭帯損傷は競技人生を左右する重大な問題で、長いリハビリ期間を経て競技復帰が可能となるため、エクササイズ・トレーニングで姿勢やバランス感覚を強化し、ケガのリスクを取り除く「一次予防」や「再損傷の予防」に取り組むことが重要となります。
靭帯損傷の程度による分類
損傷の程度により、Ⅰ度~Ⅲ度損傷に分類されます。
Ⅰ度損傷 靭帯線維の微小な損傷 関節の不安定性は認められない
Ⅱ度損傷 靭帯の部分断裂 関節の不安定性が軽度から中等度みられる
Ⅲ度損傷 靭帯の完全断裂 関節の不安定性が著明にみられる
膝の靭帯損傷の発生と特徴
1.内側側副靭帯損傷
内側側副靱帯は膝の内側に位置する靭帯で、内側への移動を防いでいます。
膝関節の外反強制力が加わり損傷します。
大きな外力を受けると前十字靭帯や内側半月板の損傷を合併することがあります。
「不幸の3徴候」と呼ばれるケガなどは代表的な複合損傷として知られています。
特徴的な症状は、内側側副靭帯に沿った圧痛や膝の腫脹、疼痛、皮下出血がみられます。
部分断裂では膝関節30°屈曲位で外反不安定性がみられます。
完全断裂では膝関節伸展位でも外反不安定性がみられ、前十字靭帯損傷や半月板を合併していることがあります。
柔道整復師が行う徒手検査は、外反ストレステスト、グラビティテスト、牽引アプレイテスト(Distractionテスト)、Lateral instabilityテスト(側方動揺性テスト)が陽性となります。
2.外側側副靭帯損傷
外側側副靭帯は膝の外側に位置する靭帯で、外側への移動を防いでいます。
外側側副靱帯は膝の内側から力がかかった際に損傷する靭帯で、比較的稀ですが、スポーツ中の接触や交通事故などで起こることがあります。
特徴的な症状は、外側側副靭帯に沿った圧痛や膝の腫脹、疼痛、皮下出血、内反不安定性がみられます。
柔道整復師が行う徒手検査は、内反ストレステスト、グラビティテスト、牽引アプレイテスト(Distractionテスト)、Lateral instabilityテスト(側方動揺性テスト)が陽性となります。
3.前十字靭帯損傷
前十字靭帯は、後十字靭帯と十字のかたちに交差して膝関節を支えています。
膝関節が捻られた時のストッパーとして働き、脛骨が前方へ移動するのを防いでいます。
特徴的な症状は、関節内血腫による膝蓋跳動や膝くずれ(giving way)、受傷時に断裂音(pop音)がみられます。
また、膝関節の最終伸展での脛骨の外旋運動の消失が認められ不安定感がみられます。
柔道整復師が行う徒手検査では、ラックマンテスト、前方引き出しテスト(ドロワーサイン)、N‐テスト、Lateral Pivot Shift テストなどの検査が陽性となります。
4.後十字靭帯損傷
後十字靭帯は、前十字靭帯と十字のかたちに交差して膝関節を支えています。
膝関節が捻られた時のストッパーとして働き、脛骨が後方へ移動するのを防いでいます。
後十字靱帯は、スポーツでの衝突、膝を地面に強く着いた時など、膝が曲がっている時に前方から強い衝撃がかかった際に損傷しやすく、車の助手席で交通事故に遭った際にダッシュボードに膝を打ちつけて後十字靱帯の損傷を起こす「ダッシュボード損傷」なども有名です。
特徴的な症状は、関節血腫や膝窩部の疼痛がみられます。
急性期が過ぎても違和感や腫れなどの一般的な症状が続くのが特徴です。
柔道整復師が行う徒手検査では、後方引き出しテストやサギング徴候が陽性となります。
急性期には膝の痛みと可動域制限が生じ関節内血腫で腫れが出てきます。
約3週間ほどで症候は軽快していきますが、膝の不安定性が明瞭になってくることがあります。
この不安定性を放置してしまうと、半月板や軟骨の損傷が加わり慢性的な痛みや膝の関節水腫が生じてしまいます。
そして、将来的には変形性膝関節症になってしまうので、大腿四頭筋やハムストリングスを中心とした筋力訓練を行い、関節の支持性を高めることが必要です。
柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
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