【川﨑先生コラム】トレーニングの適時性
2024/11/22
こんにちは!!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
川﨑先生コラムの第60弾をお届けいたします!
トレーニングの適時性
トレーニングをしているのに、「結果が出ない」、「筋肉がつかない」など自分で効果を感じていない人が多くいます。
その背景には、具体的に方法や理論を理解していないことがあげられます。
自分自身の身体や競技の特性についてある程度の知識がなければトレーニングを効果的に行うことができません。
特に、成長期では人によって発育に差があるため成長に合わせたトレーニングを行うことが大切で、間違った認識によりトレーニング効果を半減させたり、障害を発生する要因となることがあります。
正しい知識を理解してから自分がどうなりたいかを具体的に考えて、プログラムを立てていくことをしてほしいと思います。
そうすれば最も効果的なトレーニングができるようになり競技力向上とケガをしない体に変化し、目標も達成していくことができます。
1.トレーニングの原理
トレーニングには効果を獲得するための基本的な要素があります。
① 普段使う筋力よりもキツイと感じる負荷をかける。(過負荷)
② 競技の特徴をよく理解し、競技に必要な能力を向上させる。(特異性)
③ トレーニングの持続期間を長く継続することで効果を持続させる。(可逆性)
2.トレーニングの要素を達成するために必要なこと(原則)
① 基礎能力がない状態でトレーニングをしても効果が少なくなるため、偏ったトレーニングにならず原因を追究して土台となる基礎能力を上げることが必要です。そのためには全身の能力を高めていきましょう。
② 計画がなく形だけ真似をして行うのではなく、何を鍛えどこを鍛えているのか十分に理解して意識しながら行っていきましょう。
③ 自分のレベルに合わせ強度が軽いところから徐々に負荷を増やしていき段階的に内容を変えていくことが大切です。年齢、男女、体格、体力、競技レベル、経験値などの違いを考えて焦らずに一つ一つ行っていきましょう。
④ 柔軟性は日ごと、筋力は週ごと、スピードは月ごと、持久力は年ごとに改善すると言われています。それぞれの能力が得られる時期も差があるため、目標を立てたら計画的に反復してトレーニングを行うことが必要です。目標を達成することは辛いことでもありますが諦めずに続けていきましょう。
3.トレーニングの適時性
年齢によってどのようなトレーニングが効果的かという大切な時期があります。
年齢に応じて発達する能力が異なるので、その年齢に合わせたトレーニングを行うと将来の基盤ができ、成長を妨げることなく能力を引き出すことができます。
① 11歳以下の小学生・乳児
脳神経系の発達が一番活発になる時期です。
運動神経の80%はこの時期で完成されます。
この時期では運動経験が「身のこなし」や「センス」につながるので、「コーディネーショントレーニング」を行うのがベストです。
体の動きや力の加減を調整する「運動神経」を鍛えるトレーニングであるため、リズム、バランス、変換、反応、識別などの複雑な動きの能力を鍛えることができます。
② 12歳~14歳の中学生
心臓などの臓器が発達し、それに応じて骨格も大きくなります。
循環器系の発達が最も高い時期なので持久力を鍛えるならこの時期が適しています。
中学生の時期を過ぎると心肺機能の大きな発達は期待できません。
③ 15歳~18歳の高校生
ホルモンの働きが活発になる次期で「筋力トレーニング」を始めるのに適した時期となります。
昨年よりも1年間で伸びた身長の量が少なくなってきたら筋力トレーニングの開始時期と判断していいと思います。
ただし、骨と筋肉は同じように伸びてくれません。
骨の成長が続いている時期に筋肉トレーニングを多く行うと筋肉が引っ張られるようになり、いわゆる「成長痛」ということが起こってしまうので、コンディショニングを整えて身体を把握しながら筋力トレーニングを行うようにしていきましょう。
その他にも男女の性差による特徴があり、12歳頃までは男女の体力には大きな差は見られません。
13歳以降になると男子の方が女子よりも成長や体力においても上回るようになっていきます。
それは男性ホルモンと女性ホルモンの違いによるもので、13歳以降の男子は、男性ホルモンが作り出されるようになるため筋肉がつきやすくなりますが、女子は女性ホルモンの影響で脂肪がつきやすくなります。
男女ともに成長期は身体が変化する時期なので、日常生活や睡眠、食事も管理しながらトレーニングをすることが好ましいです。
適時性に合わせたトレーニングは、身体の基礎作りやあらゆる競技スポーツの土台作りになります。
個々に合ったトレーニングを考えて実施しましょう。
♡モノローグ♡
寒くなりましたね。
寒さは心に影響すると言われています。
寒いと何となく寂しい気持ちになることがあったりしませんか?
私たちの感じ方や捉え方は環境や周囲の影響を受けていることが多くあります。
冬の寒さを感じることで気持ちに変化をもたらすことを「身体化認知」といいます。
気分が落ち込んだりしたときは温かい飲み物を飲んだりすることで気持ちを和らげることができます。
今日、仕事の帰りに虹が出ていました。
寒さを感じながらも心が温かくなり、疲れが癒されました。
明日はきっといいことがあるかもしれませんね。
柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
新着記事
-
2024/11/22コラム
- 【川﨑先生コラム】トレーニングの適時性
-
こんにちは!! 日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。 川﨑先生コラムの第60弾をお届けいたします! トレーニングの適時性 トレーニングをしているのに、「結果が出ない」、「筋肉がつかない」など自分で効果を感じていない人が多くいます。 その背景には、具体的に方法や理論を理解していないことがあげられます。 自分自身の身体や競技の特性についてある程度の知識がなければトレーニングを効果的に行うことができません。 特に、成長期では人によって発育に差があるため成長に合わせたトレーニングを行うことが大切で、間違った認識によりトレーニング効果を半減させたり、障害を発生する要因となることがあります。 正しい知識を理解してから自分がどうなりたいかを具体的に考えて、プログラムを立てていくことをしてほしいと思います。 そうすれば最も効果的なトレーニングができるようになり競技力向上とケガをしない体に変化し、目標も達成していくことができます。 1.トレーニングの原理 トレーニングには効果を獲得するための基本的な要素があります。 ① 普段使う筋力よりもキツイと感じる負荷をかける。(過負荷) ② 競技の特徴をよく理解し、競技に必要な能力を向上させる。(特異性) ③ トレーニングの持続期間を長く継続することで効果を持続させる。(可逆性) 2.トレーニングの要素を達成するために必要なこと(原則) ① 基礎能力がない状態でトレーニングをしても効果が少なくなるため、偏ったトレーニングにならず原因を追究して土台となる基礎能力を上げることが必要です。そのためには全身の能力を高めていきましょう。 ② 計画がなく形だけ真似をして行うのではなく、何を鍛えどこを鍛えているのか十分に理解して意識しながら行っていきましょう。 ③ 自分のレベルに合わせ強度が軽いところから徐々に負荷を増やしていき段階的に内容を変えていくことが大切です。年齢、男女、体格、体力、競技レベル、経験値などの違いを考えて焦らずに一つ一つ行っていきましょう。 ④ 柔軟性は日ごと、筋力は週ごと、スピードは月ごと、持久力は年ごとに改善すると言われています。それぞれの能力が得られる時期も差があるため、目標を立てたら計画的に反復してトレーニングを行うことが必要です。目標を達成することは辛いことでもありますが諦めずに続けていきましょう。 3.トレーニングの適時性 年齢によってどのようなトレーニングが効果的かという大切な時期があります。 年齢に応じて発達する能力が異なるので、その年齢に合わせたトレーニングを行うと将来の基盤ができ、成長を妨げることなく能力を引き出すことができます。 ① 11歳以下の小学生・乳児 脳神経系の発達が一番活発になる時期です。 運動神経の80%はこの時期で完成されます。 この時期では運動経験が「身のこなし」や「センス」につながるので、「コーディネーショントレーニング」を行うのがベストです。 体の動きや力の加減を調整する「運動神経」を鍛えるトレーニングであるため、リズム、バランス、変換、反応、識別などの複雑な動きの能力を鍛えることができます。 ② 12歳~14歳の中学生 心臓などの臓器が発達し、それに応じて骨格も大きくなります。 循環器系の発達が最も高い時期なので持久力を鍛えるならこの時期が適しています。 中学生の時期を過ぎると心肺機能の大きな発達は期待できません。 ③ 15歳~18歳の高校生 ホルモンの働きが活発になる次期で「筋力トレーニング」を始めるのに適した時期となります。 昨年よりも1年間で伸びた身長の量が少なくなってきたら筋力トレーニングの開始時期と判断していいと思います。 ただし、骨と筋肉は同じように伸びてくれません。 骨の成長が続いている時期に筋肉トレーニングを多く行うと筋肉が引っ張られるようになり、いわゆる「成長痛」ということが起こってしまうので、コンディショニングを整えて身体を把握しながら筋力トレーニングを行うようにしていきましょう。 その他にも男女の性差による特徴があり、12歳頃までは男女の体力には大きな差は見られません。 13歳以降になると男子の方が女子よりも成長や体力においても上回るようになっていきます。 それは男性ホルモンと女性ホルモンの違いによるもので、13歳以降の男子は、男性ホルモンが作り出されるようになるため筋肉がつきやすくなりますが、女子は女性ホルモンの影響で脂肪がつきやすくなります。 男女ともに成長期は身体が変化する時期なので、日常生活や睡眠、食事も管理しながらトレーニングをすることが好ましいです。 適時性に合わせたトレーニングは、身体の基礎作りやあらゆる競技スポーツの土台作りになります。 個々に合ったトレーニングを考えて実施しましょう。 ♡モノローグ♡ 寒くなりましたね。 寒さは心に影響すると言われています。 寒いと何となく寂しい気持ちになることがあったりしませんか? 私たちの感じ方や捉え方は環境や周囲の影響を受けていることが多くあります。 冬の寒さを感じることで気持ちに変化をもたらすことを「身体化認知」といいます。 気分が落ち込んだりしたときは温かい飲み物を飲んだりすることで気持ちを和らげることができます。 今日、仕事の帰りに虹が出ていました。 寒さを感じながらも心が温かくなり、疲れが癒されました。 明日はきっといいことがあるかもしれませんね。 柔道整復師・鍼灸師 本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子]
-
2024/11/11授業見学
- 【授業レポート】柔道整復学科:包帯固定学
-
こんにちは!! 日本医学柔整鍼灸専門学校です。 柔道整復学科 夜間部 1年生 包帯固定学の授業を取材しましたので、その様子をお届けします😆 担当は包帯固定のスペシャリストの遠畑先生です💪 今回巻いていく範囲は、「上腕・肘・手首」まで! まずは巻き方を、座学でしっかり学びます✨ 最初は先生のお手本無し!前回までの授業の復習もかねて、イメージで巻いていきます!ペアを組んだらレッツスタート! 初めてなので難しいと感じる学生さんも多かったですが、遠畑先生が1人1人チェックしアドバイスしていくなかで、どんどん上達していきます! 日本医専の実技授業は教員2名体制で行います。 遠畑先生の授業は、柴山先生がサポートします✨ 練習の途中から遠畑先生によるデモンストレーション! 真剣なまなざしでメモを取る姿にモチベーションの高さを感じます😎 先生のお手本を見た後は再度ペアを組んで練習再開です。 最初のころに比べると綺麗さもスピードも格段に上がっていきました! お仕事終わりというお疲れのなかでも、皆さんとても熱心に受講されており、教室内が高い熱気に包まれています✨ モチベーションの高い状態で学ぶ環境こそが高い学力に繋がっていると、皆さんの授業を取材して強く感じました💪 柔道整復学科の夜間部の特徴として、都内で最も遅い18:20授業スタートということで、お仕事と両立しやすい環境です!夜間部の特徴については是非こちらからご確認くださいませ😂 <柔道整復学科 夜間部 特徴紹介> 学生さんたちの「勉強したい!素晴らしい治療家になりたい!」という気持ちに応えるためにも、学校として引き続きサポートしていきます! 本校では仕事終わりでも参加しやすいイベントもご用意しておりますので、ぜひご参加ください✨ <仕事帰りに参加できる平日イベントはこちら!> 皆様のご参加をお待ちしております! ご不明点がございましたら、事務局・入試広報までお問い合わせください!! 電話03-3208-7741/メール info@nihonisen.ac.jp]
-
2024/11/07コラム
- 【片橋先生コラム】杖(つえ)
-
日本医学柔整鍼灸専門学校です。 今回は柔道整復学科専任教員 片橋先生によるコラムの第60弾をお届けします! 杖(つえ) みなさんは杖(つえ)にご縁はありますか? 高齢の方が使う物でしょ?なんて声が聞こえてきそうです 確かにそうですよね からだを支えるものですから、足腰が弱くなったり筋力が弱くなったりしたときに使います 年齢が高くなるとこのようなことが起きますよね からだが不自由になって移動がむずかしくなったときに使うのですね 若くてもこのような不自由さが起きることがあります けがをしたときです けがをしたときによく使うのは、松葉杖(まつばつえ) 大きなものですから、骨折など大きなけがのときに使うんだよね? と思われるかもしれませんね あしをけがして体重をかけられない、かけない方がよい場合は左右に松葉杖を持つことで、あしを浮かせたまま移動することが可能です あしではなく、骨盤の骨を骨折して使う方もいます スポーツをやっていて鍛えられた筋肉や腱が着いている骨を引っ張って小さな骨折が起こることがあるのです 足首の捻挫でもひどい場合やけがした直後は松葉杖を使って痛めた足の負担をできるだけ減らすと治りがよいですよ 松葉杖を2本ではなく1本だけ使うこともあります その場合、どちらの手で松葉杖を持つでしょう? けがしている側か、していない側か? 正解は、こちら! 痛めたあしに負担をかけないように反対側に持った松葉杖に体重をかけて歩くのです 痛めたあしと反対側の手に持った松葉杖を同時に出してその後にけがしたあしを動かすのです 松葉杖の高さやからだにあてる部位も大切です ・上の高さは、わきから4~5㎝下 ・下の高さは、肘が少し曲がるくらい わきには神経が通っていて松葉杖をあてると圧迫してしまう可能性があります ですから、わきより少し下の胴体にあてます 擦れやすいのでタオルなどを巻くとよいですよ (監修/片橋るみ先生:柔道整復師 介護支援専門員)]
-
2024/10/25コラム
- 【川﨑先生コラム】サッカー選手に多い鼠径部痛(そけいぶつう)症候群
-
こんにちは!! 日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。 川﨑先生コラムの第59弾をお届けいたします! サッカー選手に多い鼠径部痛(そけいぶつう)症候群 スポーツ選手で多く見られるのは、骨盤・股関節の障害です。 骨盤・股関節は上肢・体幹からの荷重を下肢に伝達するため、高い安定性が求められる関節です。 骨盤は姿勢を安定させる状態を維持するための機能として重要で、体幹の動きや股関節の運動と連動して動いています。 股関節は大腿骨頭と寛骨臼から構成された人体最大の荷重関節で、自由度のある運動方向をもち、大きな運動性のある関節です。 ヒトが二足歩行をする際に最も重要な関節の一つです。 股関節疾患は小児から高齢者まで他種の病態があり、骨・関節形態・関節補助装置(関節唇)・筋・筋膜・靭帯など多くの組織が病態に関係しており、痛みは関節内・外の病変に原因があります。 スポーツ選手によっては、長期にわたり痛みを我慢して練習しているケースが多く、原因が明らかにできず原因不明の股関節痛として扱われ、適切な治療を受けていないことも多々あります。 まずは病態を解剖学や生理学、運動学などから捉えて原因を明らかにしていくことが大切です。 本校のサッカー部の選手も、腰痛や股関節痛、大腿部痛などの痛みを訴えている選手が多くいるため、練習後に身体の機能と構造や診断と評価の方法、また、コンディショニングケアやセルフケアの方法を実践的に学びながら、病態を選手自身が理解することで障害の再発や予防につなげ、より良いパフォーマンスができるように、教員と在校生で構成されている日本医専トレーナーズチーム(NITT)がサポートしています。 鼠径部痛症候群(groin pain syndrome)とは 鼠径部症候群は疾患名ではなく、鼠径部周囲に持続した痛みを訴える疾患の総称です。 明確な定義はなく、複数の病態が混在することもあり主な原因を特定することが難しいものです。 筋骨格系、循環器系、消化器系、神経系など様々な原因で起こるとされており、スポーツ選手では、骨・筋腱・腹壁・神経絞扼が原因で生じることが多いとされています。 鼠径部痛症候群と関連スポーツ 鼠径部痛が多発するスポーツは、サッカー、ラグビーが最も多く、その他にホッケー、野球、バスケットボール、長距離マラソンです。 キックやスイング、カッティング、スプリントなどの動作をする競技や股関節を繰り返し屈伸するスポーツに発生します。 急性鼠径部痛や慢性鼠径部痛の発生は、他の競技と比較してもサッカー選手に多くみられます。 男女差では男性に多く、片側性に発症してから両側性に症状が出現し、股関節に痛みを感じてから医療機関を受診する選手は0~3か月以内が多く、4~6ヶ月以上経ってから受診するケースもあります。 痛みや違和感を覚えながらも、1年や2年以上も競技を続けている選手も少なくありません。 慢性化すると症状の回復に時間がかかることもあり早期に治療を受け、症状改善に必要なケアを受けることが大切です。 鼠径部痛症候群の病態 鼠径部痛症候群は多彩な病態があります。 ①鼠経ヘルニア(スポーツヘルニア) ②内転筋損傷(長内転筋の筋腱移行部損傷) ③恥骨結合炎(腹直筋と長内転筋の収縮) ④恥骨部不安定症(恥骨間円板の変性、亀裂) ⑤腸腰筋損傷(腸腰筋腱炎、腸腰筋滑液包炎) ⑥腸骨鼠経神経、陰部大腿神経、閉鎖神経絞扼 ⑦腹壁障害(外腹斜筋損傷) ⑧疲労骨折(大腿骨頸部、恥骨下枝)、裂離骨折(上前腸骨棘、下前腸骨棘、坐骨結節) 内転筋損傷や恥骨結合炎は鼠径部に生じる筋損傷で最も多く、サッカーのキック動作時のスイングの段階で最も伸長されるため損傷リスクが高いと考えられています。 長内転筋も股関節を伸展および屈曲させる動作開始時にコントロールを補助しているため、強いキック時の股関節最大伸展の増加は内転筋損傷リスクを増大させる要因とされています。 鼠径部痛の主な症状 ①鼠径部の圧痛 ②内転筋から鼠径部に広がる疼痛 ③運動時痛(スプリント、キック、体幹回旋運動時、屈曲抵抗時、伸展時) ④咳払い(腹腔内圧が高まる動作) ⑤大腿内側から膝周辺にかけての疼痛 ⑥股関節前面から大腿前面への放散痛 ⑦神経症状(大腿内側の放散痛) ⑦運動機能低下(ジャンプ力の低下) ⑧ストレッチで誘発される疼痛 安静時は無症状または軽い疼痛を認める場合、運動時に腹腔内圧が高まる動作や身体活動の増加により疼痛が出現することがあります。 また、運動直後に症状が悪化する場合もあります。 終わりに サッカー選手は90分で約10㎞走るくらい体力が必要で、ボールを止めて蹴る能力、相手に競り負けない強靭なフィジカル、攻守の切り替えなど様々な能力が必要になります。 サッカーは攻守の切り替えにより加速力と減速力も必要になりますが、守備では自分のポジションに素早く戻り陣形を整える必要があり、攻撃ではゴールに近づくためにボールを奪ってから一気に加速して前への推進力を上げて走るスプリントが必要となります。 そして、股関節を最大伸展から最大屈曲してポールをキックする負荷がかかるため、股関節病変が発生しやすい競技なのです。 できるだけ負荷をかけないためには、スプリントをどの場面で必要か走るタイミングが重要となります。 鼠径部痛は慢性化すると病態が複雑になり治療しにくくなり、治癒しても再発しやすい疾患です。 治療の多くは保存療法で、安静、活動制限を行い物理療法(電気療法、超音波、レーザー)・徒手療法(マッサージやストレッチ)・運動療法(体幹筋と股関節周囲筋の強化)・フォームの改善、鍼灸治療などを組み合わせて改善を図っていきます。 軽度のものほど競技復帰が早く見込まれ、骨盤コルセットの着用は疼痛を軽減する効果があります。 ステロイド系抗炎症剤と局所鎮痛剤の投与については、痛みの改善は早くみられますが、再発することが多いとされています。 手術療法と保存療法を比較した場合、手術療法の方が良好であるとの研究もあり、保存療法で長引く状況があれば、手術療法も視野に入れた計画性のある治療方針を立てる必要性があります。 症状の病態を把握し、問題点を理解しながら選手の要望も聞き判断していくことが大切です。 柔道整復師・鍼灸師 本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子]
-
2024/10/13コラム
- 【片橋先生コラム】三角巾
-
日本医学柔整鍼灸専門学校です。 今回は柔道整復学科専任教員 片橋先生によるコラムの第59弾をお届けします! 日本医専 野球部 さて、今日のお話は三角巾 コラムさんかくきんの続きです 前回は三角巾を三角のまま使用しました 別の使い方はご存知ですか? 救急法でやったことがある方もいらっしゃるかもしれません まず、三角巾を細長くたたみます そして、止血のときに手や足に巻きます 止血のときは、出血しているところより上の身体の中心に近いところに巻きます 手首から出血していたら、それより上の肘に近い方を巻くのです 傷口の手当として包帯代わりにも使えます 頭には帽子のようにも巻けますよ 添木を当てて縛るのにも使えます 患者さんで腕を骨折をした方がいました 三角巾で腕を吊って帰宅されたところ、次に来院されたときは綺麗なスカーフで腕を吊っていました 「白い布じゃあ、嫌だから・・・」っておっしゃいました。 そのおしゃれ心と柔軟な考え方に感心しました 大きな布をアイディア次第で自由に使えばよいですよね! 災害のときにも役立ちます (監修/片橋るみ先生:柔道整復師 介護支援専門員)]