【川﨑先生コラム】心と体を癒すチョコレートとスポーツのお話
2025/02/04
こんにちは!!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
柔道整復学科 川﨑先生コラムの第62弾をお届けいたします!
心と体を癒すチョコレートとスポーツのお話
2月のイベントといえば、バレンタインですね。
チョコレートを食べる機会が多くなるのではないでしょうか。
しかし、チョコレートは高カロリーで食べ過ぎると脂質や糖質などの摂り過ぎになるため、体重増加や糖尿病になるリスクも上がる可能性がある食品です。
健康に悪いイメージがありますが、上手に摂取すると様々な健康効果も期待できるし、
スポーツ選手も、効率よく摂取することで疲労回復やパフォーマンス維持をすることができます。
補給食としても適しているチョコレートですが、食べすぎを防止するためにも、効果や摂取量を知っておくとチョコレートの魅力を楽しむことができますね。
チョコは運動後に摂取せよ♥
糖質と牛乳の混合物摂取は、インスリン(血液中の糖を骨格筋や肝臓、脂肪組織などに取り込みグリコーゲンの活性化作用を持つホルモン)分泌を促進し、運動後の筋グリコーゲン(筋肉に貯えられる糖の一種で運動する際のエネルギー源となるもの)の回復を高めるといわれています。
運動中のエネルギー源は主に糖質および脂質です。
糖質は骨格筋や肝臓にグリコーゲンとして貯蔵され、主なエネルギーとして使用されています。
筋グリコーゲンを消耗すると、筋肉はエネルギーを生み出せなくなり運動が継続できなくなります。
それにより、パフォーマンスの低下や疲労の原因となります。
筋グリコーゲンを回復させるためには、まずその原料となる糖質を摂取する必要があります。
そこで早期に運動のエネルギーとして活用できるのがチョコレートです。
チョコレートに含まれる砂糖は、ご飯やパンに比べて早く吸収される糖質なので、できる限り早く身体を回復させたいときの補給食として活用できます。
特に、ホワイトチョコレートは、砂糖、ココアバター、乳固形分(乳脂肪、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど)が含まれ、糖質、タンパク質、脂質が同時に摂取できる食品です。
ホワイトチョコレートは、チョコレートの中でも、インスリン分泌を増強し運動後のグリコーゲンの回復が促進される効果が高いとされています。
運動前の1時間前に摂取すると良いですよ。
他に、糖質が多い食品としてバナナがあげられますが、果物の糖質は、肝グリコーゲン(血糖値の維持)を補給し、筋肉のエネルギー源である筋グリコーゲンは補給されないので運動後の補給食としては効果的でありません。
マラソンなど競技時間が長いスポーツの場合は、“運動中”の補給食としてビタミン・ミネラル・カリウムを多く含むバナナを食べるとエネルギー補給になります。
使用されなかった糖質は、脂肪として蓄えられてしまうので要注意です。
また、インスリンが大量に分泌されて低血糖になる危険性があります。
運動量や消費カロリーを考慮せずに過剰に糖質を摂取すると、健康に悪影響を及ぼす可能性がありますので注意しましょう。
運動後の食欲低下防止のために摂取せよ♥
一過性の運動直後に食事をとる場合、食事量は安静状態と比較して150~200kcal減少することが報告されています。
運動後には、一時的な運動誘発性の食欲低下が生じ、疲労回復のための十分な量の食事やエネルギーを摂取できないことがあります。スポーツ選手の悩みでもありますね。
しかし、運動後にチョコレートに多く含まれる脂質が、摂食中枢に働きかけ、食欲を増大させる作用を持つドーパミンなどの脳内物質の分泌を促進させて食欲を増進させるように働きかけます。
この食欲増進作用により、全体の食事量が増え、糖質摂取量を減らすことなくタンパク質や脂質もバランスよく摂取することができるようになります。
チョコを食べて集中力をUPせよ♥
チョコレートには、カフェインやテオブロミンが含まれています。
カフェインは、コーヒー豆や茶葉などに含まれる食品成分で、中枢神経系を刺激して交感神経を興奮させるため、集中力を高め、眠気を覚まし、体を活発にさせる覚醒作用があります。
テオブロミンは、ポリフェノールの一種でカカオに含まれる苦味と香り成分です。
大脳を刺激して気分を落ち着かせる働きを持つセロトニンをサポートし、記憶力や集中力、やる気を出す効果があります。
集中したい30~1時間前に食べると良いですよ。
チョコを食べてマッチョになれ♥
糖質が不足した状態で運動すると、タンパク質が運動するためのエネルギー源として利用されてしまい筋肉の合成に使用されなくなります。
摂取したタンパク質を筋肉の合成に効率よく使用されるためには、運動前の十分なエネルギー補給が欠かせません。
運動前にはエネルギー補給として糖質を含む食品を食べることが重要です。
筋肉トレーニングに良い成分であるカフェイン(脂肪燃焼に作用する)やカカオポリフェノール(抗酸化作用)は、チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれています。
カカオ豆には、カカオプロテインというタンパク質(プロテイン)が含まれており、筋肉増強をサポートする作用や代謝を促す作用があります。
チョコレートを摂取することで、筋肉へのグリコーゲン蓄積効率が高まるだけでなく、筋肉タンパク質の合成促進や分解抑制効果が得られることが分かっています。
ホワイトやミルクチョコレートより、ダークチョコレートの方がカフェインやポリフェノール、カカオプロテインが多く含まれているので、ハイカカオチョコレート(カカオ成分が70%以上)を摂取すると、より効果的に筋肉マッチョを目指すことができます。
甘味は心を癒し、成分は体を癒すチョコレート♥
チョコレートには、心理的なストレスを低減する効果があるGABA(γ-アミノ酪酸)が含まれています。
チョコレートを食べて、ホッとすることがあると思います。
これはカカオの効果によるものです。
甘さや香りは自律神経を整えストレスを軽減し、脳内のセロトニン分泌を促すことで幸福感や精神的な満足感を得ることができます。
運動後のリラックスした時間にスイーツを楽しむことは、心身の疲労回復にとても必要な時間ですね。
食べすぎに注意して、幸せなひと時を過ごすことで『心の豊かさ』につなげていきましょう。
♡モノローグ♡
バレンタインデーは、2月14日に恋人や友人、家族など大切な人に気持ちを伝える日です。
日本では女性が男性にチョコレートを贈る習慣が一般的ですが、海外では男性から女性へ贈り物をするのが一般的です。近年では、性別に関係なく、大切な人に贈り物をしたり、自分へのご褒美としてチョコレートを楽しむ人も増えています。
バレンタインデーは、大切な人に感謝の気持ちや愛情を伝える良い機会です。
素敵なバレンタインデーをお過ごしください。
柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
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2024/12/25授業見学
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こんにちは!! 日本医学柔整鍼灸専門学校です😆 柔道整復学科 夜間部 1年生 スポーツコンディショニングの授業を取材しましたので、その様子をお届けします! 現役スポーツトレーナーの西村先生です💪 スポーツ現場の手技療法:下腿 本日のテーマは固まってしまった筋肉を緩めるための手技療法を学んでいきます🎵 対象部位は下腿(ふくらはぎ)! そもそも筋肉はなぜ固まってしまうのか? 筋肉は動かさずにしていると血流が悪くなってしまい栄養や酸素が行き届かない状態になって固まってしまいます😂 ではどうやったら血流が良くなるのか? 様々なアプローチがあるそうですが、本日は生理作用に基づく方法を習得していきます! 生理作用的に一番スムーズなのが「振動と回旋」刺激を与えることが大切! 対象の筋肉をぶらぶらと振ってあげたり、手のひらで回しながら擦ることで自然に血流が良くなるそうです😊 「手のひらの接地面を広く使うことがポイント!」と西村先生から具体的なアドバイス! 学生さんをモデルに手の使い方や力の入れ方など丁寧に説明してくれます💪 デモンストレーションが終わったらペアを組んで練習開始です! 最初はつい力が入りすぎてしまって患者役の顔が引きつってしまう時も😅 慣れないうちはつい力が入りすぎてしまいますが、実技の授業では先生が直接アドバイスをくれるのでとても安心ですね🎵 授業の後半では徐々に慣れてきた様子! 上手にほぐされている学生さんはすっかり癒されモードに突入してますね😂 日本医専の夜間部は幅広い年齢層や様々なご職業の方が在籍していますが、授業中のコミュニケーションも多く、非常に明るい雰囲気です✨ クラス内で活発的なコミュニケーションを取れる環境こそが成長に繋がっていると、皆さんの授業を取材して強く感じました💪 日本医専では、こういった普段の授業を見学することが可能です! 実際の学生の様子や雰囲気がよくわかり、オンライン授業など柔道整復学科 夜間部の特色を知ることができます🎵 19時開始または20時開始からお選びいただけるので仕事帰りに参加しやすいです💪 【夜間部授業見学+個別相談会】 <19:00~20:00> <20:00~21:00> 皆様のご参加をお待ちしております! ご不明点がございましたら、事務局・入試広報までお問い合わせください!! 電話03-3208-7741/メール info@nihonisen.ac.jp]