東日本大震災から10年 -「避難所」で柔道整復師にできること-
2021/03/11
こんにちは、日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災から今年で10年。
東日本各地での大きな揺れや、大津波、火災等によって、東北地方を中心に12都道府県で2万2000人余の死者・行方不明者が発生し、明治以降の日本の地震被害としては関東大震災、明治三陸地震に次ぐ規模となりました。
東日本大震災により被災された地域の皆様、関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
日本に地震が多く発生する国であり、東日本大震災だけでなく、熊本地震、岩手・宮城内陸地震、新潟県中越沖地震など日本で発生した人的被害のあった地震は多数起きています。
今回は避難所や仮設住宅で生活した場合の、被災生活中の心身機能の維持と快復のために、柔道整復師ができる運動について考えてみたいと思います。
1、避難所での被災生活で起こりやすくなる「エコノミークラス症候群」
東日本大震災をはじめとする大地震では、家屋の倒壊や火災による焼失など、家屋に居住することが困難になることが多くあります。
避難者の数も急増するため、避難所が不足し、狭い車の中で過ごす被災者の方も多くいました。このため、身体を動かすことが少なくなり、水分の不足もあってエコノミークラス症候群と呼ばれる血管病変を発症する方も続出したと報じられました。
エコノミークラス症候群とは、窮屈な座席で長時間同じ姿勢のままでいると、血の流れが悪くなり血管の中に血のかたまりが作られ、そこに痛みや腫れが生じます。(深部静脈血栓症)
また、血のかたまりが剥がれ、肺の血管につまると胸の痛みや呼吸が苦しいなどの症状も起こします。(肺塞柱症)
これが重くなると死亡する可能性もある重大な病気です。
不自由で不活動の状態が続く避難所生活では、心身の健康が脅かされる危険性が高まります。運動は生活のリズムをつくり、ストレスの対策にも有用なため、健康な生活を取り戻すためには、適度な運動をする必要があります。
【エコノミークラス症候群を防ぐための3つのポイント】
①2時間に1回、歩いたり、ストレッチしたり、体操をして体を動かす。
②座っているときも、ストレッチやマッサージをする。
③こまめな水分摂取を意識する。
2、災害時に柔道整復師のできること
これまでの大震災での経験からも、災害時においては、病院に病傷者が殺到して病院の機能は麻痺してしまう恐れもあります。本来であれば救える命が救えなくなってしまうことも予想されます。
そのため、医師、薬剤師、看護師とともに柔道整復師などの医療関係者が病院前などで緊急医療救護所などを設置し、トリアージや軽症者の処置をおこなうなども検討されています。
これまでの自治体でおこなわれた緊急医療救護所の訓練において、柔道整復師がおこなったことを挙げてみます。
①救護所の設営準備
病院関係者や自治体職員と協力して、救護所となるテントを設営する。
②トリアージの補助
トリアージは主に医師や救急隊員がおこない、柔道整復師を含めた医療従事者はトリアージタグの記入や病傷者の誘導をおこなう。
なかでも、簡易な一次トリアージとして歩ける人などの誘導であれば、柔道整復師でも可能な場合も想定される。
③軽症者の処置
医師の指示のもと、軽症者に処置であれば柔道整復師がおこなえることもある。
④患者の搬送
救護所には軽症者から重傷者までたくさんの患者が集まってくるため、病院内への搬入だけでなく、他院への転送など搬送作業に必要な人材としても活動できる。
このように災害時には多職種の連携が上手く機能することで多くの負傷者を助けるようになります。
柔道整復師が担う役割は多岐に渡り、医師をはじめとして他の職種と連携できることも期待されています。
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