浮谷先生コラム第19弾『思い出すまま~心に残る言葉』
2022/03/18
こんにちは!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
浮谷先生コラムの第19弾をお届けいたします!
思い出すまま~心に残る言葉
こんにちは。だいぶ暖かくなってきましたが皆さんお元気ですか?
今回は3月・年度末ですのでこれまで頭の片隅に残っていた印象深い言葉を「蔵出し」したいと思います。よろしくお願いします。
『顎関節症は炎症性疾患ではありません!』
以前のコラムで「あごの話」として顎関節脱臼を取り上げましたが、同様の顎関節疾患の中に「顎関節症」があります。
歯科領域ですと「歯科口腔外科」や「歯科補綴学」で登場しますが、広く医学一般や柔道整復学でも研究の対象になっています。
ただネットの医学情報等を検索すると「顎関節症」を炎症性疾患として説明しているものがありましたので改めて確認したいと思います。
歯科関連で定義された顎関節症は以下の内容です。
顎関節痛、関節雑音、異常顎運動を示す関節病態を示し、顎関節部に炎症症状もなく、骨構造にも異常を認めない一連の慢性疾患を顎関節症と呼称している。
つまり顎関節症は非炎症性の慢性疾患であり、もし炎症症状があれば顎関節疾患において「顎関節症」でなく「顎関節炎」として診断・分類されるはずです。
これは医科・歯科・柔整の各科教科書、また国家試験出題基準においても共通の認識だと思われます。
おそらくネット等で記されているものは、患者さんや一般の人向けにわかりやすく説明したいためにあえて「炎症」の語句を用いたのかもしれません。
このコラムをご覧いただいている学生さん、特に医学・医療系を目指す人は内容に疑問を感じたら教科書や医学事典のような専門書で確認されることをお勧めします。
ネットに記されていることが臨床的、学術的にすべて正しいとは限りません。
くどくど「顎関節症」を申し述べてきた訳は、実は学生時代の口頭試問での苦い思い出があるからです。
当時試験官から「顎関節疾患を分類してみろ」と聞かれた私は、炎症性疾患の中に顎関節症を含めて答えてしまったのです。
途端に「馬鹿野郎!顎関節症を入れる奴があるか‼」となって即陥落、出直しでした。
勉強不足を思い知らされ、その時以来「顎関節症は炎症性疾患ではない!」と叩き込まれました。
皆さんも試験勉強をしていて何か覚えなければならないとき、普通に暗記するよりも失敗して大恥をかいたり、屈辱を味わったりして学び直したことの方が鮮明に記憶されていませんか?
私は学生時代、失敗・挫折の連続でした。
落ち込むことも多々ありましたが少しずつ消化して次につないでいきました。
着実に知識を重ねたいならば思い切り失敗して恥をかいてください。
学生時代はやり直しがききますから。
『心、こころよ…』
これは病床の妻が当時10歳の息子に最後に語った言葉です。
呼吸困難で多くを語れなかったため「こころ」で表現したと思われますが、息子に「まごころとか優しさを持った人間になってほしい」との願いを込めたのでしょう。
病床は私と息子の3人でしたが、厳粛な場面でした。まるで命のドラマを観るようでしたが、まもなく妻は私の方を向いて穏やかな表情で語りかけようとします。
「パパ…」と言って手をだすので私にはどんな言葉をくれるのかと手を握りしめました。
妻の言葉は
「SA〇〇の月謝よろしくね」でした。
ハラホロヒレハレ‼~このズッコケギャグがわかる人はまさしくクレージーキャッツ世代です。(笑)
誰も知らないですね。お呼びでない?失礼いたしました。
それにしても最後の言葉が塾の月謝とは⁉~でもいかにも妻らしいなと思いました。
「わかっているよ」と答えると安心して微笑んでくれました。
妻は10年間、闘病しながら文字通り命がけで子育てしてくれました。心から感謝です。
対面ではそれが最後の言葉でしたが、私のガラケーには妻から感謝のメッセージが残されていました(残念ながらスマホへの切り替えで消失してしまいましたが)。
最後は内輪の話ですみません。
1年3か月もの間、拙文にお付き合いくださりありがとうございました。
4月からの新たな旅立ち、皆さんへエールを贈ります。
(監修/浮谷英邦先生:歯科医師・介護支援専門員)
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