川﨑先生コラム 第20弾「高校生に知って欲しい柔道整復のお仕事 ★Part1」
2022/04/01
こんにちは!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
川﨑先生コラムの第20弾をお届けいたします!
高校生に知って欲しい柔道整復のお仕事 ★Part1
4月は新しい会社、職場、学校など皆さんそれぞれが新しい日々をスタートする季節ですね。
日本医学柔整鍼灸専門学校も新年度を迎え、本日入学式を行いました。
新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。(*^O^*),゚.:。+゚,゚.:。+゚
将来への希望と志を持ち入学されてきた皆さんには、新しい仲間との出会いを大切にしてこれからの学校生活を有意義に過ごし楽しんで欲しいと思います。
入学してしばらくは勉強や学校生活に対してとても不安になると思います。
また、頑張り過ぎてしまい気ばかり焦り、緊張が続くことで、過度のストレスにより体調不良になりがちです。
環境の変化に適応するためには、心のコントロールを上手にしていくことが秘訣です。
心とは、人間の理性や知識・感情・意志などの働きのもとになるものです。
心は人の軸となるものです。この軸は経験や環境、学習により成長していくものです。
心のアクセルとブレーキを上手くコントロールして結果だけを重視するのではなく、努力した過程を大事にしていけば自己成長に繋がっていくと思います。
時々立ち止まって桜を眺めるなどしてゆとりを持って下さいね。
本校では、学生が安心して学校生活を送ることができるように各学年に担任(教員)・副担任(職員)制度を設けています。
教職員が一丸となって学生サポート体制を取っていますので、些細なことでも相談して解決していくようにしてくださいね。
さて、今回はこれからの将来を考える高校生に柔道整復師の魅力を伝えたいと思います。
高校生が思い描く将来の職業は
昨年のなりたい職業で上位に上がった職業は、医療系・保育士・公務員・薬剤師などがあります。
そのなかで、医療系が最も多く、コロナ渦で社会を支える医療現場をみて影響を受けていることが大きいといえます。
そして専門性のある職業を意識して現実的な将来を考えている傾向が見られます。
専門性があり必要とされる職業としては、柔道整復師も医療現場、介護福祉現場、スポーツ現場など地域医療を支える様々な分野で社会に貢献できる職業の一つです。
柔道整復師とは
柔道整復師とは、国家資格の一つで、厚生労働大臣の免許を受けて柔道整復の業をする者で、主に骨折・脱臼・捻挫・打撲・筋腱の損傷を治療するお仕事です。
いわゆる外傷を専門とする仕事で、医師と柔道整復師だけがその業務をおこなえる資格があります。
手技による非観血的療法(切ったり縫ったりしない治療)によって整復・固定などを行い、身体に本来備わっている治癒能力を最大限に引き出す施術をします。
職業としては専門性が強く、やりがいのある職業です。
柔道整復師の歴史
柔道整復師は接骨師・ほねつぎと呼ばれ長い歴史をもって現代に受け継がれています。
実は柔道整復師は伝統医術の一つなのです。
時代を遡ると、戦乱時代からの武術や柔術による活法(人を助ける救急法や外傷治療)の考え方から発展してきた職業です。
古文書(医学書)の中にも骨や関節損傷について詳細に記載されており、独自の手法をもって接骨術を施したと門外不出の秘宝とし伝えられています。
江戸時代に入ると西洋医学に基づく新たな接骨分野が研究され、八代将軍吉宗によって柔術活法に由来する接骨術が日本各地に広まりました。
明治時代に永きに亘って民衆に親しまれながら接骨医の身分が確立しました。
ところで、必殺仕事人の時代劇を観たことがあるでしょうか・・・・?
シリーズがたくさんある時代劇です。
今の高校生は観たことがないかも知れませんね。(笑)(笑)(*^-^*)
ちょっと古いから・・・・・( ̄。 ̄;)
必殺仕事人は、裏家業をする人が法で裁けない悪を暗殺するというストーリーです。
有名なのは藤田まことさんが演じる中村主水です。
今は、東山紀之さんが演じていますね。
柔道整復師と関連がある、仕事人の一人に、念仏の鉄がいます。山崎努さんが演じています。
鉄は、元は住職ですが檀家(お寺を経済的支援する家)に不義を働いたことで島流しとなりますが、その間、接骨術を学び放免となった後、江戸の貧乏長屋の一角で「骨接ぎ」を営んでいるという役柄です。
今で言うと接骨院や整骨院のお仕事をしている人です。
鉄は悪徳代官などの骨や関節を素手で一瞬に粉々にしたり折ったりまたは関節を外すことができるという凄腕キャラクターです。
暗殺の手法からして鉄は、かなり人体の仕組みを理解していることが伺えます。
時代劇の中でその瞬間のレントゲン映像のカットが入るのも面白いところです。
この映像には特殊技術でバリウムを塗った人体模型が使用されていたらしいですよ。
時代劇では、悪者を成敗するための接骨術として用いられていますが、日常の鉄は接骨医なので江戸の民衆のために地域貢献しています。
時代劇のドラマの話が長くなってしまいましたが、江戸時代に最も発展した人々にとって身近な職業であることがわかります。
接骨術は道具を使わず手で治療できる素晴らしい技術です。
古くから人々に必要とされてきた伝統医術だからこそ職業としても現代に生き残り、時代のニーズに合った更なる発展を続けています。
柔道整復師になるには
柔道整復師になるには、柔道整復師養成施設となっている厚生労働大臣が認定した専門学校(3年制)あるいは、柔道整復学科のある文部科学大臣が認定した4年制大学、3年以上の短期大学に進学して所定の単位を修得し、国家試験に合格する必要があります。
学校で、人体の構造と機能や柔道整復師が専門とする整復・固定の実技を学び、まずは認定実技試験を通過して、国家試験の受験資格を得なければなりません。
ちょっと大変だな~と思うかもしれませんが、国家資格を持つことは専門的な知識と技術を努力して修得してきたという点で信頼を得ることができます。
本校では、国家試験合格率100%を目指し、独自の国家試験対策や学習システムを導入しています。
詳しい情報はオープンキャンパスに参加してみてください。
今回のPart 1で柔道整復師って何だろう?と思っていた方も概要について知って頂けたと思います。
次回は、Part 2として柔道整復師の職業や就職について詳しく書きたいと思います。
皆さんの将来のキャリアマップが描けるように情報を載せていきますね。
桜が満開ですね。私は1年の中で4月が一番好きです。
草花が芽生え、清々しく気分を新たに取組もうという意欲が湧きます。
ところで、インターネットを色々見ていたら、2年前ですがミス柔道整復師というイベントが行われていました。
ちょうどコロナがまん延して社会が暗い時期で、少しでも業界を明るくしよう、女性が輝けるようにと、就職情報会社が独自に行ったイベントみたいです。
SNSやTwitterで投稿してリツイート数やいいね数でポイントがつき、1次予選からファイナルまで選考があったみたいです。
もっと早く知っていれば応募したのに~って日本医専のお母さんはちょっと無理かな?(笑)(*^O^*)
最近では、柔道整復も美容系分野に参入して自然な美しさを引き出すビューティー施術が人気。
施術を受ければ何とかファイナルまで・・・・なんてね。
本校にも美男・美女がたくさんいるので、学校のイベントで№1日本医専を計画してみたいですね。
柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
先生のコラムや授業の様子がわかる!
>>ほかの柔道整復学科ブログはこちら
まずは日本医専を知ろう!
>>資料請求はこちら
新着記事
-
2024/07/04コラム
- 【山中先生コラム】~のぼせ~
-
こんにちは! 日本医学柔整鍼灸専門学校です。 柔道整復学科専任教員、山中先生によるコラム 第30弾をお届けします! のぼせ 暑い季節がやってきました。 梅雨はいったいどこへ❔ 暑さが厳しいそんな時、皆さんはどのように過ごしていますか? 首に冷たいものをまいたり、冷たいものを摂取したり、冷感のある服を着たり.様々な対策を取られているかと思います。 のぼせると、だるさが出たり、頭痛や発汗・鼻血や動悸など様々な症状が出てきますよね。 そうなる前に、対処法をいくつかご紹介いたします。 身体から余分な熱を追い出して、快適な日常を送りましょう。 ①百会(ひゃくえ)穴 頭のてっぺんにあります! 頭の先から余分な熱を追い出しましょう。 ②曲池(きょくち)穴 肘を曲げた際、肘に出来るシワの一番外側にあります。 (難しく言うと…肘窩横紋外側端にあります) ③太谿(たいけい)穴 内くるぶしとアキレス腱の間にあります。 ペコっとへこんでいると、疲れがたまっているサインかもしれません。 ④湧泉(ゆうせん)穴 足の裏で、指をぎゅっと曲げた時に一番へこむところにあります。 頭の先から、足の裏まで刺激をしながら余分な熱を追い出しましょう。 これからやってくる本格的な暑さに身体が負けないよう、今から対策をしていきましょう。 是非ためしてみてください。 日本医学柔整鍼灸専門学校 柔道整復学科 専任教員 山中 直樹 健康長寿・認知症 Gold-QPD 実践セミナー地域フロンティア代表 。 健康長寿・認知症 Gold-QPD 実践セミナー講師。 鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師。 ▽山中先生は本校TikTokでも活躍中✨ 是非ご覧ください!▽]
-
2024/07/02コラム
- 【川﨑先生コラム】アスリートと歯の健康
-
こんにちは!! 日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。 川﨑先生コラムの第54弾をお届けいたします! アスリートのリカバリー 歯がスポーツにおける身体能力に関わりがあるということを知っていますか? プロの選手や一流アスリートはとても歯を大切にしていて虫歯や歯周病がほとんどないそうです。 より良いパフォーマンスを発揮するためには、虫歯や歯周病がない健康な歯で、とくに噛み合せが重要となります。 歯の噛み合せが悪いことで、顎関節症や頭痛・肩こり・腰痛・姿勢異常、睡眠の質低下などの身体的な不調が生じることがあります。 また、高齢者では、歯が健康であるほど脳機能の活性化や生活の質の向上、また運動機能に優れていることが明らかになっていて、介護の分野において、転倒予防や認知症予防を目的とした口腔ケアが重要視されています。 歯の健康を維持することは、食物を咀嚼する消化に関わる事だけでなく、会話を楽しみいつまでも自分の歯で美味しいご飯を食べるなど日常生活の豊かさにもつながります。 近年では歯科を通じて、スポーツ外傷の予防、栄養管理、体力づくり、健康の維持・増進など健康コントロールにスポーツコンディショニングの一つとして重要とされています。 だから、スポーツトレーナーも歯とスポーツの関係について知識を伝え、歯の健康指導を行っています。 歯にかかる力はどれくらい 成人男性(20~30歳)の噛みしめ時に奥歯にかかる力(咬合力)の平均は 60kgで、歯を食いしばった時には自分自身の体重に匹敵するくらい大きな力が奥歯にかかっています。 普段の食事の際に奥歯にかかっている力(咀嚼力)は最大咬合力の 1/2~1/4でおよそ10~20㎏程度の力がかかっています。 噛む力の強さより、左右の奥歯でしっかり噛めていることが大事です。 歯の噛みしめで大切なこと 歯の噛みしめで重要となるのは奥歯です。 噛み合せが悪く奥歯に均等に力が入らないと身体の筋力が最大に発揮できなくなります。 歯並びや噛み合せが良いアスリートは、全身の発揮筋力が4~6%程度UPするそうです。 全身の発揮筋力を1%上げるだけでも大変と言われているのでこれだけUPするのは凄いことですね。 静的動作の時にしっかり歯を噛みしめることで、筋肉への神経伝達が良くなり体幹が安定し筋力や瞬発力が発揮しやすくなります。 皆さんも、重い荷物を持つ時などに歯を食いしばって持つと思います。 一度、口を開けた状態で持ってみてください。力の入り方に違いを感じると思います。 噛み合せと運動能力への影響 筋の働きをスムーズに発揮するためには顎の位置を固定することが必要です。 力を発揮するときに顎が正しい位置になければ十分に力が発揮できません。 顎を正しい位置にするためには歯並びが重要で、噛むことにより咬筋に力が入り頸部が安定します。 歯並びや噛み合せが悪いと顎や頭部の位置が不安定になり、身体のバランスが崩れ安定した姿勢が調整できなくなります。 それにより運動能力が低下し、最大パフォーマンスが発揮できなくなったり障害の発生につながったり、頭頚部を安定させようと過緊張状態になり肩こりや頭痛、顎関節症につながります。 噛む力のバランスは体のバランスと考えていくことができます。 柔道整復師はスポーツトレーナーとして選手のコンディショニングケアを行いますが、痛みや障害の発生している原因が骨盤や体幹のコアバランスという視点だけでなく、噛み合せの問題からもコンディショニングを捉え、スポーツ歯科と協力しスポーツマウスガードの活用や全身バランス調整+頭頚部とフェイスマッサージなども加えてケアしていくことも必要です。 スポーツ選手がガムを噛む理由 スポーツ観戦をしているとガムを噛んでプレーしている選手がいますね。 噛むという動作で運動機能を司る脳の運動野の働きが活発になり、脊髄の運動神経が活性化されます。 それにより体の軸がぶれにくくなる効果が生まれるので、動作に合わせて噛むことができれば体の反応が良くなり競技力の向上が期待できます。 また、認知機能を司る前頭前野の血流も上がるため試合中の集中力が高まり判断力にも影響があります。 スポーツ選手がプレー中にガムを噛んでいることは意味があります。 口腔ケアの重要性 スポーツ選手は身体的、精神的ストレスにより、交感神経が優位になり血管が収縮するため、唾液は水分が少なくなったネバネバした唾液で分泌量が少なくなります。 また運動中は口呼吸になることで口の中が乾燥しがちです。 この状態はミュータンス菌(虫歯菌)が増殖しやすい環境です。 スポーツドリンクを摂取すると、そこに含まれている糖分をもとにプラーク(歯垢)を作り、ミュータンス菌は増え続け唾液のPHが低下(酸化)し虫歯の原因になります。 予防方法としては、スポーツドリンクを摂取した後、水で口をすすぐと虫歯予防になります。 唾液の分泌が低下すると、虫歯が発症しやすくなるのに加えて、上気道感染(カゼ症候群)も起こりやすいという研究結果もあります。 その他、スポーツ選手は3度の食事以外にエネルギー補給をするため食事の回数が多くなります。 歯を痛めると柔らかい食物を取りがちになり炭水化物が多くなり、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足してし栄養摂取からパフォーマンスに影響を及ぼしてしまいます。 日本オリンピック委員会では、選手の健康のコントロールに力を入れていて、試合や遠征で歯が痛くなると結果に影響が出るため、派遣前に内科・整形外科・歯科の受診を義務付けています。 最大のパフォーマンスを発揮するためには虫歯や歯周病がなく、歯の噛み合せがしっかりしていることが大切です。 日頃の歯磨きだけでなく虫歯や歯周病予防のための口腔内ケアをしっかり行い、規則正しい生活やバランスの取れた食事、よく噛んで食べるなどのオーラルケアを続けて頂ければと思います。 また、噛み合せが良いことは、しわやたるみをなくしてフェイスラインの美しさにつながりますよ。 柔道整復師・鍼灸師 本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子]
-
2024/06/20コラム
- 【片橋先生コラム】足首をひねったら・・・②
-
日本医学柔整鍼灸専門学校です。 今回は柔道整復学科専任教員 片橋先生によるコラムの第54弾をお届けします! 足首をひねったら・・・② <<前回のコラムはこちら>> 足首をひねったら、実は、骨折になることがあります! 前回お話しした捻挫、靭帯ではなく、骨が折れてしまうことがあるんです 靭帯や筋肉の端である腱は骨についています 骨のように固くはないのですが、骨を引っ張った結果、骨の方が負けて折れてしまうことがあるのです 前回出てきたよく捻挫しやすい靭帯、外くるぶしについてる前距腓靭帯 この靱帯が外くるぶしを引っ張って、くるぶしが欠けたように折れてしまうこともたびたびあります ですから、「足首をひねった=捻挫」ではないのです また、足首をひねった角度によって別の靱帯を痛めることもあります 前距腓靭帯の少し前に二分(にぶん)靱帯というものがあります ここを捻挫することもあります この靭帯も周りの骨についています ですから、周りの骨を引っ張って骨折になることもあるんですよ (監修/片橋るみ先生:柔道整復師 介護支援専門員)]
-
2024/06/14コラム
- 【山中先生コラム】~自律神経調節~
-
こんにちは! 日本医学柔整鍼灸専門学校です。 柔道整復学科専任教員、山中先生によるコラム 第29弾をお届けします! 自律神経調節 皆さんは、季節の移り変わりで身体に不調をきたしていませんか? なんだか疲れが抜けない、寝たいのに寝付けない、身体がだるさ等感じている方に必見の場所を3つご紹介します。 梅雨・・・そして夏がやってくるその前に体調管理を始めましょう。 ①百会(ひゃくえ)穴 頭のてっぺんにあります。 季節の変わり目や、天候によるすっきりしない頭痛にも効果的! ②合谷(ごうこく)穴 母指と示指の間で、示指寄りにあります。 ※鏡に映る場所(目・鼻・口・喉・耳・肌)の悩みにも効果的! ※美容にもオススメです。 ③太衝(たいしょう)穴 足の甲足の第1指と第2指の間です。 ※ストレスチェックにも使えるので、日々の体調管理にもオススメ! これから迎える梅雨や暑い夏を、ツボ押ししながら快適な毎日に変えていきましょう。 是非試してみてください。 日本医学柔整鍼灸専門学校 柔道整復学科 専任教員 山中 直樹 健康長寿・認知症 Gold-QPD 実践セミナー地域フロンティア代表 。 健康長寿・認知症 Gold-QPD 実践セミナー講師。 鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師。 ▽山中先生は本校TikTokでも活躍中✨ 是非ご覧ください!▽]
-
2024/06/11コラム
- 【川﨑先生コラム】アスリートと歯の健康
-
こんにちは!! 日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。 川﨑先生コラムの第53弾をお届けいたします! アスリートのリカバリー アスリートは全てのトレーニング要素が重要ですが、トレーニング効果が構築され短期的・長期的にスポーツを成功に導くカギとなるのはしっかりと身体のリカバリー(休息)をすることです。 トレーニングは体にストレスを与え続けるため、運動後のクールダウンを放置してしまうと翌日の生活やトレーニングまた競技パフォーマンスに影響を及ぼしてしまいます。 トレーニングと同じようにリカバリーにも気を配り蓄積した疲労を早期に回復させることが大切です。 1.リカバリーの重要性 リカバリーとは、「疲労回復」を行うことです。 頑張るためには休むことも大切です。 トレーニングによる疲労というと、筋肉の使い過ぎと考えることが多いと思いますが、筋肉だけでなくそれをコントロールしている神経も関連します。 神経-筋活動の反射が低下したり、自律神経系のバランスが悪くなると、睡眠の質が下がり疲労が回復しないケースもあります。 適切なトレーニング刺激は、年齢、経験や経歴などの要因により異なりますが、激しいトレーニングを行う事と同じように、時々強度を落とし「運動」と「休息」をコントロールする必要があります。 例えば、筋力やパワーの向上などを目標にした「激しい運動」をした日の翌日は、運動量と負荷を軽減させた「軽い運動」を行うようにスケジュールを組み、肉体的な休息だけでなく精神的な休息ができるように全体的に調節をしていきます。 リカバリーができないスケジュールを組むとパフォーマンスが低下し、オーバートレーニングの危険性があります。後々、障害につながる要因となってしまいます。 2.ユーストレス(正のストレス)とディストレス(負のストレス) スポーツ選手は、結果や競争がもたらす「状況的ストレス」や、より良いパフォーマンスを発揮しなければならないという「心理的ストレス」を感じながら競技に向き合っています。 ストレスは不安、葛藤、欲求不満、情緒不安、心理的外傷、挫折感などの様々な心理状態が含まれていて、人間にとってネガティブなものであると考えられますが、必ずしもパフォーマンスに悪影響を与えるものではありません。 プレッシャーをきっかけとして競技パフォーマンスが良い方向に向く事があり、状況によって有用性があると考えられています。 ストレスには、「ユーストレス」と「ディストレス」の2種類があります。 「ユーストレス」は、快い適度の刺激で意欲や向上心を掻き立て、活き活きとした活動や成長のために必要なもので、力を引き出す活力となります。 「ディストレス」は、過度の刺激やプレッシャーで、身体の運動機能や働きなどの生理学的限界をもたらし、意欲を低下させいずれ健康までも損なってしまうもので、力の発揮を妨げる因子となります。 例えば、ストレスレベルが低い環境なのに力を発揮することができなかったり、ストレスレベルが高すぎて仕事や勉強に集中できなくなってしまうという経験はみなさんあると思います。 ストレスを出来る限り軽減すれば良いということではなく、適度なストレスがある方が最適なパフォーマンスを発揮できることがあるということです。 3.汎適応症候群に注意 ディストレスになってしまった場合、私たちは過剰なストレス反応を起こします。 ストレスを受け適応反応が起こることを「適応症候群」と呼び、さらに全身に反応が起こったものを「汎適応症候群」といいます。 汎適応症候群には大きく分けて3つの段階があり、それぞれの段階によって心身に現れる適応反応が異なります。 ①警告反応期:ストレスを受けた初期段階で、交感神経と副交感神経がバランスを保つように働き苦痛・不安・緊張等を緩和させ、ストレスに適応するための反応が起こります。 ②抵抗期:ストレス状態がさらに続き、体が抵抗を続けてストレスと戦っている段階です。 副腎皮質ホルモンの分泌によって体の抵抗力を高めストレスとのバランスを保とうと働きますが、この段階で無理をしてバランスが崩れてしまうと次の疲幣期に移行してしまうことになります。 ③疲弊期:ストレスを受け続け耐えられなくなり疲れきっている状態で、ストレスに対する抵抗力が衰えている段階です。 メンタル的にはやる気が起きなくなり「燃え尽き症候群」に陥ってしまう状況です。 疲弊期が続くとホルモンバランスが崩れ、睡眠障害や精神疾患、心拍や血圧、体温などが低下するなどの症状がみられ病気へとつながる可能性が高くなります。 この最後の段階がオーバートレーニング状態ということになります。 疲弊期に入る前に、ストレスを管理し十分にリカバリーを行うことで心身を回復させることが最も重要となります。 アスリートは、トレーニングの強度に慣れており、苦痛を好む傾向にあります。 むしろ、何もしないで休むことが不安に結びついたり結果が出ないという考えを持っていたりします。 休むことやリラックスすることが、ケガの治癒や予防、心身の健康、身体の強化に重要であるという考え方を持ち、トレーニングとリカバリーのバランスを取ることが最も効率の良いエネルギーの使い方であると認識する必要があります。 4.運動負荷に応じたリカバリー方法 運動負荷に応じたリカバリー方法に、アクティブレスト(積極的休養)とパッシブレスト(消極的休養)があります。 「アクティブレスト」は積極的に軽く体を動かし疲労回復を行うリカバリー法です。 ウォーキングやストレッチ、ヨガなど20分~40分の範囲で軽い運動を行います。 代謝系や免疫系の機能にストレスをかけることなく、血液循環が高まり酸素を含んだ血液が筋線維に流れ、各細胞に供給されます。 これにより体内の疲労物質の排出を促し、乳酸の分解やカルシウムの再吸収により筋肉が収縮しやすくなります。 運動後に軽く体を動かすクールダウンもアクティブレストの一つです。 例えば、サッカー選手が試合後にランニングしている姿をみたことがあると思います。 試合後に疲れないのかな?と思ったことがあると思いますが、選手は疲れを残さないためにリカバリーをしているんですね。 身体を動かさずに休むだけでは、疲労物質が排出されず疲労感が残ったままになってしまう可能性があります。 デスクワークが多い人や休養を取っているのに疲れが取れないという場合は、アクティブレストが有効です。 「パッシブレスト」は睡眠や入浴、マッサージなど身体を動かさずに安静にすることで身体や脳の疲労を回復させるリカバリー法です。 その他、瞑想や音楽鑑賞、アロマテラピーなども含まれます。 パッシブレストは長く続けると疲労感が蓄積され、疲れやだるさなどが生じることがあるため少し回復したらアクティブレストに切り替えて使い分けると日々のパフォーマンスを維持しやすくなります。 計画的なトレーニングは、競技パフォーマンスの向上に必要不可欠な要素です。 そして、リカバリーもトレーニングの一つだと考えてください。 「あと少し、あと一歩」力が発揮出来たら結果が変わっていたかもと思ったことはないでしょうか。 次の一歩のためのコンディションをコントロールして、更なるパフォーマンスを高めて下さいね。 リカバリーによる身体の変化や効果を感じ取ることでモチベーションも維持することができます。 柔道整復師・鍼灸師 本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子]