川﨑先生コラム 第24弾「顎関節症になっちゃった!!顎関節症とは」
2022/07/08
こんにちは!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
川﨑先生コラムの第24弾をお届けいたします!
顎関節症になっちゃった!!顎関節症とは
オンライン生活やスマホ使用による姿勢異常(猫背)、コロナ禍のストレスで顎関節症になる人が増えているそうです。
私もある日突然に、ご飯を食べるとこめかみの所がゴリゴリ、ジャリジャリと音がし始めてもしや?と思ったら1週間後には口が半分しか開かなくなりました。
特に思い当たる原因は考えられないのですが、異常を感じるようになってから仕事が終わると頬や顎周囲の筋肉の痛みと首から側頭部にかけて重だるさとコリを感じます。
その他に耳鳴りと頭重感がとても気になるようになりました。
生活習慣を見直してみると長時間のパソコン作業と首肩の筋緊張が発症のきっかけかな?と思います。
だんだん症状が悪化してきたので、日本医専の美容鍼灸サロンAcure(アキューレ)で鍼治療を受けました。
なんと!!顎の違和感と耳鳴りが改善され筋肉の緊張も緩和され口が大きく開くようになりました。
その後は、調子がよく早く治療すればよかったなぁ~と思いました。
定期的に治療を継続したいと思います。
☟ 顎関節症とは
顎関節症は多様な症状を訴え病態も様々です。
顎関節症は顎の関節を構成する骨、筋肉、靭帯といった構造のバランスが崩れることで発症します。
①顎関節(※下図参照。耳の前にある関節)や咀嚼筋の痛み(下あごを動かす)、②関節の雑音(ギリギリ、ジャリジャリ、ザリザリ)、③開口障害(口を開けることができない)を主な症状とするもので、これらの症状が1つでもあれば顎関節症と診断されます。
つまり、口を開けようとすると顎が痛い、音がする、口が開かないといった症状があるときは顎関節症と考えられます。
発症要因で一番多いのはストレスの影響が考えられています。
リラックスしているときは上下の歯は接触しておらず1~2㎜ほど隙間が生じています。
しかし、緊張状態になると口を閉じる力が強くなり歯を食いしばる状態になります。
この状態が続くと顎への負担が慢性化して顎関節症を発症します。
☟ 顎関節症の原因
最も大きな原因は、筋緊張による顎関節への過度の負荷です。
緊張する仕事をしている、対人関係の緊張、姿勢不良、硬いものを食べる、長時間の咀嚼、楽器演奏、長時間のデスクワーク、重量物の運搬、うつ伏せで寝ているなどがあります。
そのほか、歯並びが悪い、歯の嚙み合わせの異常なども発症の原因となります。
スポーツ選手でも競技中に歯を食いしばることが多いため顎関節症になる選手が多くいます。
☟ 顎関節症のタイプ
①咀嚼筋障害型(筋の問題)
顎の筋肉の使いすぎが原因で頬やこめかみに痛みが生じます。
筋肉の緊張や、筋・筋膜の調和が崩れて噛み合せが悪くなることが原因とされます。
また、日常生活で受けるストレスによっても発症することがあります。
顎の歪みや頭痛、肩こり、耳鳴りを訴えることもあり、全身と局所の筋緊張を緩和するためにマッサージを行い安静にします。
②靭帯・関節包障害型(関節の問題)
関節に異常があり、大きく口を開けたり、硬い物を噛んだり、歯ぎしりや食いしばりをすることで顎関節に痛みが生じます。
顎の痛みや関節運動障害が見られるため、あくびや硬いものを控え可能な限り安静にします。
③顎関節内障型(関節円板の問題)
顎関節症の中で発生頻度が高く、関節円板(上顎の骨と下顎の骨の間に存在するクッションの役割をする組織)の異常が原因で発症します。
関節円板の位置がずれてしまっているため、口を開けるときや閉じるときにカクっと雑音やクリック音がします。
また、症状が悪化すると関節円板が前方にずれた状態で引っかかるようになるため大きく口を開けられなくなります。
主に開口障害や、関節の適合異常や動きの異常が見られ、一般的にマウスピース治療を行います。
④変形性顎関節症型(変形の問題)
関節の変形が原因となって発症するタイプです。
加齢とともに発症する傾向があります。下顎頭の変形や顎関節の動きをスムーズにしたり、摩擦を軽減している関節円板に障害が起きます。
症状だけでは診断困難なためレントゲンを撮影して骨の変形がないか調べていきます。
主な症状としては、顎関節部の軟骨がすり減っていたり変形が生じているため、口を開けたり閉じたりする時にジャリジャリと雑音が生じ、開口障害がみられます。
マウスピース治療や開口訓練を行い顎への負担を軽減します。
☟ セルフチェック(スリーフィンガー法)
口を開ける大きさを、指を横にして入れることで確認します。
①指が3本入れば口を開ける大きさは正常です。
②指が2本入らない状態は急性の顎関節症になっています。
早期であればすぐに治る可能性が高いので早目に治療を開始しましょう。
③指1本が入らない状態は顎関節症が悪化して重症化している可能性があります。
すぐに専門の医療機関の受診をお勧めします。
④指2本は入るけど指3本は入らない場合は、顎関節症が慢性化しています。
治るまでに時間が必要となります。
☟ 治療とケア
顎関節症に対する治療の管理目標は、痛みを減少させること、顎機能などを回復させること、正常な日常活動を回復させることです。
多くは生活習慣や癖を改善することで症状を軽減することができます。
①筋マッサージ法や筋訓練法などの治療
セルフケアとしての開口ストレッチや咀嚼筋マッサージなどを行い、痛みを軽減していきます。
筋肉は温めたほうが良いので風呂に入ってゆっくりマッサージするようにしてください。
関節の痛みが強い場合は悪化することがあるので要注意です。
②薬物療法
鎮痛剤や非ステロイド性抗炎症剤の投与をすることで痛みを緩和させることができます。
咀嚼筋および顎関節痛に対する治療に効果があります。
③マウスピース療法
噛み合せ異常にはマウスピース療法を行い顎関節への負担を軽減させます。
2 週間から1ヶ月、長くとも 3ヵ月ほどの基本治療で痛みや開口障害などの症状が改善しない場合はMRI検査や専門的対処が必要となります。
顎関節症は、慢性化すると治りにくく日常生活に影響を与えてしまいますので異常を感じたら早期に治療をすることが大切です。
また、顎の歪み(偏位)は、頭頚部のバランスや脊椎のバランスに影響します。
肩こりや頭痛、耳鳴りなどを併発することがあり、歪み自体は美容にも関係します。
美味しくご飯を食べることもできないため気分は憂鬱になってしまいます。
暑いですね~:;(∩´﹏`∩);:
かなり猛暑日が続きますが、皆さんは元気にお過ごしでしょうか?
日本医専では、柔道部が再活動するようになり私も練習に出ています。
柔道部の練習で少しずつ体力強化とボディーメイクを頑張っています。
練習に参加している学生は1年生から3年生まで年齢も様々です。
暑いですが、みんな楽しく技を磨いています。
柔道経験者で柔道整復師を目指す方は、是非日本医専に来てください!!
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柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
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