柔道整復師・鍼灸師を育成する専門学校

日本医学柔整鍼灸専門学校
(2025年4月 校名変更予定)

鍼灸学科 BLOG

【王先生のコラムスタート!】「カラダとココロを整える東洋医学」第1回・たかが冷え性、されど冷え性

本日から連載開始!
本校鍼灸学科専任教員、王先生によるコラム「カラダとココロを整える東洋医学」が始まります。

王先生は北京中医薬大学医学修士・日本大学医学博士・中医師として内科・婦人科を専門として活躍され、本校では婦人鍼灸ゼミの顧問として学生の指導にあたっています。
漢方・薬膳などの中医学に精通している、頼もしい先生です!

 

「カラダとココロを整える東洋医学」第1回・たかが冷え性、されど冷え性

 

いよいよ冬到来の季節となりました、皆様は如何お過ごしでしょうか?

冬というと、まずは寒い、冷えるといった単語が脳に浮かび上がると思われますが、本日はその冬の寒さを連想させる冷え性についてお話します。

1.冷え性とは

冷え性とは、体の特定部分―例えば手、足、腰などの一部のみに冷感または寒さに近い感覚があり、外界の温度や体温とは必ずしも一致しない自覚症状のことを指します。
すなわち、夏の暑い時期でも冷え性の方は体のどこかが冷えてしまうことを自覚するのです。
冷え性については、西洋医学には病名がなく病気として扱われず、単に一種の自覚症状(不定愁訴)に過ぎないと考えられています。
一方、東洋医学では冷えを自覚する裏には、気血の流れの問題や臓腑のアンバランスの状態などが見え隠れていると考えられ、治療すべき疾患とみなされています。約2000年前に成書された古典医書『傷寒雑病論』にはすでに「手足寒」(しゅそくかん)、「厥冷」(けつれい)、「腰中冷」(ようちゅうれい)など、様々な冷えの症状とそれを治す処方(漢方薬)について記載されています。

2.冷え性と生活習慣

成人女性の約半分の方に冷え性の自覚があると言われています。
特に近年若い女性でも冷え性を訴える方が増えているそうです。
そのように多くの女性達が冷えを感じるのに、実は普段の生活習慣に密接に関係していると考えられます。
次の各項目になにか心当たりがありますでしょうか?
①冬でもミニスカートなど露出の多い服装や薄着を着ている。
②夏に冷房の温度を低く設定し、睡眠中にも冷房をつけばなししている。
③よく冷たいジュースやアイスコーヒー、アイスクリームなどを飲食している。
④朝食を抜きの生活。
⑤夜更かし、運動不足など生活のリズムが不規則

漢方医学的には、上記①~②は外在の寒性的邪気が体内に侵入させてしまう。
③~⑤体内を冷やしてしまうと考えられ、それらの内外の因子により体が本来持っている温める働きの陽に損傷与えたり、気血の流れを阻まれたりして冷え性を引き起こすのです。

3.冷え性は放っていけない

冷え性または冷えに伴い、様々の症状や病態が見られます。
例えば肩こり、頭痛、不眠症、肌荒れ・しみ・そばかす、便秘や下利、免疫力の低下、むくみ、生理不順、生理痛、不妊症、更年期障害などが挙げられます。
この中で特筆すべきものは一つに免疫力の低下と、もう一つは不妊症です。
免疫力の低下に関しては、前述したように冷え性の方は気血の流れが悪いために、免疫を担う免疫細胞にとっては、働きにくい環境となり、また活性化しにくくもなっているから、当然ながら免疫力が低下してしまいます。
不妊症に関しては、妊娠に深く関係する各種女性ホルモンや子宮、卵管、卵巣は活発に正常に働くために、やはりよい血流が必要不可欠です。
ことに腰部に冷えてしまうと骨盤の血流を悪くさせるため、骨盤中の臓器である子宮や卵巣の血流も悪くなってしまい、結果的に妊娠しにくい体になってしまいます。
このように、冷え性はただ冷えるだけの自覚症状だけにとどまらず、場合によって様々な全身症状を引き起こしたり、深刻な病態につながったりするので、決して放ってはいけません。
実際、臨床では生理不順や生理痛、不妊症、更年期障害などのために漢方相談や鍼灸院に訪れる女性の体質をチェックしてみると、冷え性がある方がとても多いです。
そしてほとんどの方は冷え性をも改善されると、それらの疾患も快方に向かうのです。
では、次回、冷え性予防と改善のお話をいたします。

今回はここまでです。

(監修/王瑞霞 先生)

王 瑞霞先生/本校鍼灸学科専任講師・婦人鍼灸ゼミ顧問
北京中医薬大学医学修士 日本大学医学博士 中医師
専門分野は内科・婦人科 漢方・薬膳などの中医学に精通
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