柔道整復師について

柔道整復師が接骨院で使用する治療機器

接骨院では様々な道具を使い施術を行います。ここでは柔道整復師が接骨院で使用する治療機器についてご紹介します。

柔道整復師は骨折・脱臼・捻挫・打撲・筋腱損傷などの外傷を施術するプロフェッショナルです。外傷治療後に障害の基本的機能回復を行うことを後療法と言います。後療法には、物理療法・運動療法・手技療法があります。物理療法とは、物理的エネルギー(熱・水・光線・電気・徒手など)を体外から障害部位に適応し、①血液循環の改善、②疼痛の緩和、③自然治癒力の促進、④筋力強化、⑤神経・筋協調性能力の向上、⑥リラクゼーションなどの目的で行われる治療法です。
柔道整復師は、患者様の症状に合わせて痛みの緩和や機能回復を目的とした、様々な治療機器を用いて施術を行っていきます。患者様の基礎疾患などを把握し、適応と禁忌をしっかり理解した上で使用することが重要となります。

温熱療法

温熱療法とは、患部を温める治療です。慢性期の痛みを緩和したり、関節の拘縮(動きの制限)を改善したり、筋肉の緊張を解くために行います。

1)湿熱ホットパック、乾熱ホットパック

ホットパックとは身体表面を加温する表在温熱療法です。
鎮痛・表在組織の温熱効果と循環改善・リラクゼーションの効果があり、疼痛・表在組織の癒着・拘縮などに対して運動療法前に実施されます。

2)極超短波療法

極超短波療法とはマイクロ波治療器のことです。電磁波を生体に適応し体内の水分子を振動させるエネルギー変換熱を用いた深部温熱療法の一つです。
血管拡張・神経伝達速度の上昇・酸素活動の促進・軟部組織伸張性の増大などの効果があり、慢性関節疾患・筋腱障害・外傷後の疼痛・筋の伸張性低下など、機能障害や関節可動域制限のある疾患に使用されます。

3)超音波療法

超音波療法とは超音波の伝導によりエネルギー変換熱を用いた深部温熱療法の一つです。非温熱としても使用することができ、空気中は超音波が伝導しにくいためジェルや水中法を用いて使用されます。
血管拡張・神経伝達速度の上昇・軟部組織伸張性の増大・骨血管新生増加などの効果があり、外傷後の疼痛・関節疾患・筋膜症状・関節炎・筋腱炎など幅広い疾患に使用されます。超音波骨折治療器は骨癒合を促進させ日数を早める効果があるとして骨折の治療では積極的に使用されています。

電気刺激療法

電気刺激療法とは、電気エネルギーによって起こる生体反応を治療に応用したものです。

1)低周波療法

低周波とは周波数の低い電流で皮膚表面に微弱な電流を流すことで血行改善・疼痛緩和・筋緊張の緩和・骨癒合促進・組織修復などの効果があり幅広い目的で使用されています。その他、SSP治療器といった電気刺激と鍼麻酔を合わせた効果が得られる、ツボを利用した刺さない鍼治療器があります。

2)干渉波療法

干渉波とは低周波よりも皮膚抵抗の低い電流で通電の際に違和感が少ないのが特徴です。4つの吸盤でプラスマイナスの電流を干渉させて深部まで刺激が伝わり十分に筋収縮を起こさせることができます。
鎮痛・血行促進・筋緊張の緩和・関節可動域の改善・萎縮の予防・外傷による組織修復の改善などの効果があります。

3)高周波療法

高周波とは、周波数の高い電流で皮膚を擦るようなやさしい刺激が特徴です。主に深部刺激に優れた効果があり早期に症状の緩和が期待できます。主な効果としては、鎮痛・消炎・代謝機能の促進・血行促進・しびれや麻痺の緩和などに効果があります。

4)微弱電流療法

微弱電流とは、もともと人体に存在する電流に似たマイクロ電流を流し筋肉に刺激を与えます。組織の再生や修復を促進する効果があり、腫脹・炎症・打撲・肉離れ・捻挫などの症状に使用されます。また、ほとんど刺激を感じない極めて弱い電流で神経や筋肉を興奮させないため、運動後の筋肉痛の軽減にも有効です。

光線療法

光線療法とは、専用の器具で光と熱のエネルギーを体に導入し、エネルギー不足を補い、全身の血液循環を改善することにより、抗病力(自然治癒力)を強化し、数種の体の異常を改善する治療法です。

1)赤外線療法

赤外線療法とは皮膚での吸収率が高く、浅層の温熱作用に優れた温熱療法です。
軟部組織の伸張性低下・局所の循環障害・疼痛・軟部組織損傷・筋緊張亢進・末梢神経の異常などに効果があり、循環改善・関節疾患・筋腱の障害・筋緊張緩和などに使用されます。

2)レーザー療法

レーザー療法とは人工的な電磁波で微弱な出力で照射される光線療法です。
局所の循環障害・筋緊張亢進・疼痛・交感神経系の異常興奮・炎症・皮膚創傷などに効果があり、関節疾患・循環改善・急性外傷・急性炎症・皮膚疾患・疼痛緩和・リウマチなどの免疫作用などに使用されます。

水治療

水治療とは体の一部を冷水や温水に浸す方法です。

温水・冷水治療

渦流浴と言われる温熱刺激と渦流による機械的刺激を与えるものが多く使用されています。水は伝導と対流により効率よく熱を伝える作用があります。
疼痛軽減・機能障害の改善・外傷の治癒促進などの効果があり、疼痛・浮腫・筋緊張・慢性炎症・関節拘縮・創傷のケア促進に対して運動療法前や運動療法と併用して実施されます。浴槽内を清潔に保つ必要がありやや手間がかかるのが欠点です。

治療機器の必要性

接骨院では、手技での施術が主となりますが、治癒促進やケガの予防をサポートするために多くの治療器が使われます。一般的な治療機器をあげましたが、他にも優れた機器がたくさんあります。症状に対して効果や作用があり、正しく使用しなければ効果がなく、危険が伴うこともあります。手技だけでは手が届かない作用に期待ができ物理療法の重要性は高いと考えられます。治療機器を購入する費用は決して安くありませんが、接骨院の特徴や他院との差別化を図るためにも施術方針に合わせた機器を設置する必要があるでしょう。

【監修者】

本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子

柔道整復師(2001年取得)、鍼灸師

本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
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