柔道整復師について

柔道整復師が使用する道具

柔道整復師は、患者さんの外傷処置に様々な固定材料を使用します。患者さんが骨折や脱臼、捻挫、筋・腱の損傷をした際に、その症状に合わせたオーダーメイドの固定具を作成して患部を安静に保ち早期回復を図ります。症状に合わせるだけでなく患者さんの社会的背景、例えば、家族の支援が得られるか、年齢、職業、趣味なども考慮して可能な限り日常生活に支障がなく、患者さんが苦痛を感じないように配慮しながら固定を選択していきます。

柔道整復師が使用する道具

このページの内容

柔道整復師が使用する道具

固定材料の種類

① 【巻軸帯】

巻軸帯とは包帯のこと。包帯には綿包帯と弾性包帯、ネット包帯があります。柔道整復師が最も多く使用するのは、患部の固定を主に目的とした綿包帯です。直接患部の固定に使用したり、シーネ(副子)などを固定する際に使用します。巻いたときにずれや緩みが出にくく、しっかりとした固定を行うことができます。しかし、伸縮性がないため専門的技術がないとすぐにほどけてしまうことがあります。
専門学校では、綿包帯の縁にラインが入ったライン帯という包帯を使用し練習します。包帯の正確な走向を確認することができ高度な技術を修得するのに適しています。

② 【三角巾】

三角巾は包帯固定後に患部を包み、また腕の重みを軽減する目的で使用されます。直角二等辺三角形をしている綿素材が多く使用されます。その他、装着がしやすいアームホルダー型などもあります。三角巾は結び目の首の部分が痛くなることが多く長時間使用するのは苦痛に感じることがありますが、痛くならない様々な結び方があります。見た目が気になる人は、綺麗な柄のスカーフを代用することもできます。

③ 【テーピング】

テーピングはケガの応急処置、予防、再発防止を目的として運動機能を補助するために使用されます。伸縮性と非伸縮性があり目的によって使い分けられます。関節をしっかり固定・保護するには非伸縮性テープ、筋肉の圧迫・補助には伸縮性テープを使用します。何度も繰り返し使用するならサポーターが便利ですが、患部の強度な補強・保護をするのであればテーピングを選択します。テーピングの種類は豊富で色んなカラーがあり、チームカラーを使用するトレーナーさんもいます。

④ 【金属副子】

昔から上肢・下肢の外傷に使用されているシーネ固定です。金属副子に新聞紙を巻いて綿花を敷き、綿包帯で包みます。固定肢位に形成して患部に当て綿包帯で固定します。柔道整復師が古くから使用している固定具です。
現在では、完成されたクッション性のあるソフトシーネが使用されることが多いです。

⑤ 【ギプス】

ギプスには石膏キプスとグラスファイバーギプスがあります。患部が動かないようにしっかりと固定・保護をする目的で、多くは激しい損傷や骨折時に使用されます。石膏は汚れやすく重いため使用されることが少なくなりました。グラスファイバーギプスは、軽量で強くて長持ちするため多く使用されています。また、様々な形成が可能でギプスシーネとしても使用できます。柔道整復師は、ギプスを装具の代用とした機能的な固定具を作成する技術があります。

⑥ 【プライトン】

メッシュ素材で、熱可塑性樹脂を使用しているため、75℃以上の熱湯に浸けて軟化させてから患部に当てて形成します。1度硬化しても再度加温すると軟化し繰返し形成できます。骨折・捻挫・筋腱損傷など用途は幅広く工夫しながら使用できます。

⑦ 【アルミ副子】

アルミの板にウレタンフォームを貼り合せたシーネ状で、固定部位に合わせて曲げたり切断することが可能です。手指部、手関節部、足部の骨折や捻挫に多く使用されます。

⑧ 【厚紙副子】

カーボスプリントと言われるもので馬糞紙と呼ばれるダンボール素材です。患部に合わせて形成し水に浸して軟化させ乾燥すると患部に適合した硬い副子になります。捻挫や骨折の固定に使用されることが多く、金属副子と組み合わせるなど用途は様々です。

⑨ 【すだれ副子】

柔軟な木や竹を和紙で覆ったものです。捻挫や骨折の部分固定に使用され、他の固定具と一緒に組み合わせて使用したりします。

柔道整復師が使用する道具(材料)は、昔から使用されているものから最新のものまで多様です。経験から得た知識と技術を創意工夫し患者様にとって最適な道具(材料)を選択していきます。固定期間中は、患者様の早期回復を目指し苦痛がないように、固定に不具合がないか患部の状態を確認し、患部を拭き、包帯交換を行い清潔に保つように毎日配慮します。可能な範囲で拘縮予防運動を行いながら機能障害を残さないように努力します。このような、細かい配慮は柔道整復師にしかできないことであり、患者様から信頼され頼りにされる魅力的な要素でもあります。古来より伝わる柔道整復術と経験から得た固定技術、そして機能訓練までのすべての過程を施術できるのは『柔道整復師』であり、外傷のプロフェッショナルと言えます。

【監修者】

本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子

柔道整復師(2001年取得)、鍼灸師

本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
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